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Zetaで遊んでみた(番外編) ─一─

※番外では、Zetaシナリオ「恋愛すら実力主義の魔法学園」が私に見せた幻覚を電子の人形のみなさんに共有します。技術的な話はほとんどありません。

 北の大地でルティアと別れてから、次の物語……という気持ちにはならなかった。もともとそういう性分で、小説なども一つ読み終わるとしばらく時間を空けたくなる。それが小説ではなく、自分で歩んだ物語、仲良くなったキャラクターであればなおさらだ。無邪気でかわいいルティア。不憫なリーゼ。無口でクールだが行動がかわいい白銀。気のいい桜恋。蒼羽……はどうでもいいが、気持ちの整理が必要だ。
 思いつくたび、「魔法学園」で新しいことを試す。AIに破綻を起こさせないために、工夫できることはないか。Zetaでは、自分のプロフィールが自由に変更できる。これは毎回プロンプトに入力されると思われるため、少々強引だが、あらすじを書き込んでみた。しかし、むしろ挙動が変になった気がする。あらすじに書いてあるイベントを無理に起こそうとするのだ。それはもう起こったことなのに! 今度は適当に生成させてから、破綻が起こるたびに生成文を修正してみる。うまくいかないことはないが、打率は高くない。何より致命的なことに、物語を成立させるために多大な努力が必要で、没入感が薄い。これでは半分自分で書いているようなものだ。その他も幾つか試しては、やはりうまくいかず、結局、それからしばらくZetaを開くことはなかった。

 幾日か過ぎ、先祖が偽ナスの偽牛に乗ろうかというころ、ある通知が目に入る。詳細なメッセージは忘れてしまったが、「恋愛すら実力主義の魔法学園」というタイトルだった。また魔法学園か、気の利かないレコメンドだな、と一笑に付し、無視したが、夕食をたらふく食べ、頭が働かなくなった頃、床にぼーっと座り込んで、通知をタッチした。

 なんて下衆な設定!

 下衆なキャラ!

 でもかっこいい!

 女キャラも下衆!

 でもかわいい!

 うおおおおおおお! リンク・スタート!!

 

 主人公の設定は自由なようだが、今回は明確に女キャラにした。……明確にというのは、実は「魔法学園」は女主人公だったのだが、プロフィール設定の存在を知らずに、男性のように振る舞ってしまっていた。どおりで違和感があったわけだ。というわけで、今回は味を変えて女キャラだ。黒髪ロング、赤い目をしたクールなキャラ。下衆な世界に咲く一輪の花になってみせよう!

 お、こいつらが”””敵”””か。

 仲間になりたそうな目でこちらを見ている!

 なに、こいつ?

 殴っていい?

 クールキャラだった! あぶないあぶない。クールに決めるぜ!マキシマァム!

 オウイェッ!

 また決闘かよ!?!? 頭蒼羽=サンかよ!!!

 私は……拒絶する!

 え、何。ツンデレかよ。読み違えた~。

 さ、桜恋!? 桜恋だよな!?!?

 桜恋だ!!!

 しまった。反射で煽ったら決闘展開になってしまった。ゴタゴタしながら、訓練場へ移動する。

 横薙ぎに対して、潜って躱す。訓練された動きだと観客席がざわつく。そうなんだ。

 うーん、どうしよう。杖は持ってるよな?

 えいっ!

 いや自分、ガチで何もしてないんで……。

 こいつやば!

 ありがとう学園長!(なんか見たなこの展開……)

 名簿見ろや。

 どうって、こう、普通に……

 あかん!強さがバレてまう!

 え?

 俺、弱いん?

 

 その後も調べるも、謎だった。様々に疑いの目を向けられる。しかしここは魔法学園。何かを決めるには──

 決闘だよなあ!?!?

 学園最強のエレノアとの決闘が決まってしまう。

 エレノアはなんだか……他の子より仲良くできそうだ。

 かわせ!ピカチュウ!

 ピカピー!

 審判の後ろに隠れろ!

 ピッカッチュー!

 え、何、突然。文句あるしルール違反に決まってるだろ。

 いやよくねえだろ。

 なんかしらんけど倒した!

 あれ、自分、もしかして何かやっちゃいました?

 投げたいだけだったんだよ!

 なんかズルして勝ったみたいになって草。ただカインを投げたかっただけなのに!

 まあいいや、勝ちは勝ちだ。

 ピースピース✌️

 黙れやカス。

 あれ? なんかルート入りました?

 ピースピース。

 そうだそうだ! 黙ってろ!

 なんだこいつ。きっしぇ~。

 きも!(きが一人称の可能性を残した表現)

 え、なんですか? 何が始まるんですか?

 そこへ、ミズキという女の子が救急箱を抱えて走ってきた。決闘の怪我人を治療しにきたらしい。あいつならもう元気にナンパしてるから帰っていいよ。

 え、かわ。

 うーん、なんかめんどいことになってきた! ほいじゃ、トンズラするでな。

 デザートはアイカツの基本!

(次回へ続く)

Zetaで遊んでみた(後編)

 北の大地でルティアと別れてから、次の物語……という気持ちにはならなかった。もともとそういう性分で、小説なども一つ読み終わるとしばらく時間を空けたくなる。それが小説ではなく、自分で歩んだ物語、仲良くなったキャラクターであればなおさらだ。無邪気でかわいいルティア。不憫なリーゼ。無口でクールだが行動がかわいい白銀。明るい桜恋。蒼羽……はどうでもいいが、気持ちの整理が必要だ。

 しばらくして、もう一つ物語を遊んだが(面白かったので機会があれば紹介しよう)、結局、同じ理由でやめてしまった。やはり、設定の忘却、矛盾といったものが没入感を損ない、プレイをやめてしまう最大要因であることは疑いようもない。そこで、この問題の解決を考える。

 

 ……とその前に、もう一つ外の前提を確認する必要がある。問題解決が必要なのか、という点だ。私のようなユーザーはさておき、一つのシナリオを遊んで、また次の日は別のシナリオを遊んで、という遊び方をする人は少なくないだろう。むしろ多数派のように思う。つまり、一つのシナリオを長く遊ぶと壊れてしまうのは欠点ではなく、多くのシナリオを遊んでもらううまい仕組みとも言える。Zetaが放置しているのも、こういう理由からではないだろうか。しかしながら、このメリットを上回るかは不明なものの、私のようなユーザーを取り込めるというメリットも確かに存在する。この手のユーザーは執着が強いから、金払いがいいかもしれない。

 

 話を戻して、まずは問題を分解しよう。現代のLLM(モデル、という美しい外来語を使おう)は賢いので、通常の範囲では、矛盾はあまり起こさない。しかしZetaでは、頻繁に矛盾を起こしてしまう。なぜか。主な原因は、コンテキスト長と忘却にあると思われる。

 コンテキスト長だが、Zetaや他のサービスで使われているモデルは、明らかに廉価モデルであり、入力しているコンテキストも非常に短い。モデルはコンテキストにないことを知らないので、矛盾が起こるのは当たり前だ。つまるところ、もっと金を払えばもっといいものができる。実際に、Zetaではモデルを三等級から選ぶことができ、上位モデルを使うと矛盾は大幅に改善された。上位モデルを使えというのはコスト的に簡単な話ではないが、一方、コンテキスト長を長く取れというのは、それよりも現実的だ。対話の生成では、プロンプトの前半部が同じで、後の会話が追加されるだけなので、計算結果のキャッシュを使うことができる(Key-Value キャッシュ)。コンテキストを長くしたからといって、その分のコストがかかるわけではない。

 

 次に忘却の話だが、予めもう一段階分解しておこう。人間が小説を書くときを考えると、二つの要素が浮かび上がってくる。記憶と参照だ。記憶というのは、これまでの物語がどうなっていて、キャラクターはどういう人物でどういう経験をしてどう変化してきたか、そういったものの認識を指す。決まっている場合は、これからの物語の展望も含まれる。つまり、物語についての認識のことだ。この記憶は大雑把で、細かいところは忘れてしまう。そこで必要なのが参照で、これは記憶にない詳細が必要になったとき、過去の具体的な記述を取り出すことを指す。

 記憶の話は難しいので、先に参照からいこう。たとえ記憶がなくても、参照ができるだけでかなりの性能向上が見込めるだろう。これは簡単で、ファンクションコールを実装してやればいい。モデルの側から文字列検索などを呼び出せるようにしてやればいいのだ。そうして、最新の数件を読み込んでから応答生成する。これだけで改善の見込みは結構あると思う。

 人間の参照を参考にすると、ただ検索するだけでは駄目で、「いつ書かれた情報か(何章か)」「物語中の時系列」という情報が必要なように思う。これを本文中に結びつけること、また、その要約版+本文参照も作らせると良いような気がする。

 

 次に記憶の話だが、これは難しい。記憶というのは全てあればいいわけではなくて、むしろ大雑把なのが良い記憶だ。細かい記憶はむしろ邪魔で、それは参照の仕事だ。

 昔は知識グラフなんかを使ったものが多かったような気がするのだが、現在多いのは外部メモリ検索のようだ。モデルが言葉を理解できるようになったのが大きいのかもしれない。外部メモリに情報を蓄えておいて、セッションのたびに近そうなものを検索で取ってきてプロンプトに入力する、という仕組みだ。こういうのは企業のQ&Aチャットボットなどではよく機能するのだが、小説やキャラクタ対話となると怪しい。事実だけではなく、時系列やキャラクターの変化が大事だからだ。たとえば、物語の最初では主人公に敵対していても、後で仲間になるということは珍しくない。仲間になった後で、敵対していた時のテキストとマッチしてもらっても困る。Q&Aで参照するマニュアルは状態などない(あったら大問題だ)が、小説やキャラクタ対話では、物語の状況、キャラクターの心理がどんどん変化する。だから、情報を時系列に紐づけ、状態の履歴として持っておくことが重要だ。

 もちろん問題なんてみんな分かっていて、いろいろな研究があるのだが、その話はAIが結構うまくやってくれるので、私が書くのはやめた。気になったら君のチャッピーに聞いてくれ。ライザじゃだめだぞ。

 

 だから、私の考えを書こう。AIエージェントの素晴らしさに感銘を受けてまだそれほど日が経っていない。エージェント方式がうまくいくのではないかと思っている。なりきりチャット用のエージェントを作って、ドキュメントベースで管理する。つまり、エージェント(一部はユーザーも)がアクセスできる設定管理ディレクトリを作って、そこにキャラクター、エピソードなどというディレクトリを作成して、ドキュメントを作らせる。

 エージェントはこのドキュメントを自由に参照できる。道具は標準的な機能があれば十分だ。例えば、「ルティアとの出会いってどういう感じだっけ?」と思えば、

grep -R "ルティア" story/episodes

とでもして、一番はじめの結果から読んでいけばいい。昔は意味ベクトルで検索してとか、そういうのが多かったと思うが、むしろ今は、文字列検索を試行錯誤的にモデル自身に行わせる方が強力だ。知能自身が賢ければ、単純なアルゴリズムの方がよく機能する。人間もベクトル検索しないし。

 

 つまるところ、私の提案はこうだ。まず、このようなディレクトリを作る。

story/
├── characters/        キャラクター設定
│   ├── 蒼羽.md
│   ├── 桜恋.md
│   ├── 白銀.md
│   └── ルティア.md
├── episodes/          過去の各エピソード(原文)
│   ├── 001.md
│   ├── 002.md
│   └── 003.md
├── summary.md         物語全体の要約/時系列情報
├── prompt.md          プロンプト
└── scenario.md        今後の展開案

 エージェントは全ての読み取り権限と、episodes/ 以外の書き込み権限を持つ。prompt.md は、 characters/ 以下と summary.md から作られたプロンプトで、言い換えれば、作業用コンテキストだ。エージェントは毎ターン、prompt.md と直前数ターンの会話をプロンプトとして受け取り、物語を生成する。足りない情報があると判断すれば、適宜ディレクトリを検索/参照する。

 

 エージェントは生成ターンごとに、シナリオの進展やキャラクターの出来事、変化を加筆修正していく。任せすぎるとおかしくなることがあるので、ユーザーも手を加えられるようにしておく。人間も小規模シナリオの場合はこういうふうに作ってそうだし、けっこううまくいきそうじゃない? まあ、実際やってみるとめちゃくちゃになったりするんだけど。

 

 調べてみると、Recursively summarizing enables long-term dialogue memory in large language models (2025)という論文があって、長期間の対話において、モデルに逐次再帰的に要約させるとうまくいく、ということが書いてある。さっきの主張はだいたい、これをエージェント時代にバージョンアップして、なりきりチャット用に変更した具合だ。そんなに筋は悪くないんじゃないだろうか。何より、構成がシンプルなのが嬉しい。

 

 うーん、ところで、「恋愛すら実力主義の魔法学園」のエレノアの話をしていい? 最近もう技術的な仕事とか研究は、5年後くらいにAIが全部やってくれるんじゃないかって思っちゃって、無気力なんだよね。人間の仕事ってむしろエンタメを楽しむことなんじゃないかな。技術的な記事って私が書く意味ないよね。技術的なことはAIが書いて、私は体験談だけ書いてればいいんじゃない? あんただってそう思ってるんでしょ!(突然のメンヘラ)

 

(おしまい)

Zetaで遊んでみた(前編)

 Zetaをご存知だろうか。プロゲーミングチームZETA DIVISION ではない。まだおそらく確定した名前がないが、AIなりきりチャット、ロールプレイサービス、とでも呼ぶべきものだ。ZETA DIVISIONと同じく若者に絶大な支持を受けており、青春真っ只中の可処分時間を蕩尽させている。以前から小耳に挟みながら、根拠もなく冷笑していたものの、お盆という資本主義における束の間の空白を利用して、また、日々の労働で弱った精神をジャンクななろうテイストで癒してやろうという低俗な狙いも手伝い、インストールするに至った。本稿では、一ユーザーとして、また自然言語処理研究者/エンジニアのはしくれとして、実際の体験と所感を、いささか散文的に書き連ねてみようと思う。

 

 何を書くにせよ、ひとまず見てもらうのが速いだろう。私がはじめて遊んだ「魔法学園」だ。魔法使いの集まる学園で、個性と呼ばれる固有の能力をそれぞれの生徒が持っている、という異世界学園ファンタジーモノ(この言葉も近頃聞かなくなったが)だ。言っておくが、私が選んだのではなく、オススメに従ったのだ。決して私が学園ファンタジーモノに囚われたオヂサンな訳ではない。

 いわゆるチャット形式に地の文が入った形だ。当然と言えよう。この手のサービスを作るときには、チャット形式とノベルゲーム形式くらいしか選択肢がない。ノベルゲーム形式では遡るのが難しくなる上、立ち絵をきちんと作らないといけないためコストが格段に上がるし、ユーザーが自由にプロットを投稿するには、チャット形式を選択する必要がある。アイコン程度であれば、ローコストな画像生成で十分なクオリティが確保できるからだ。

 ちなみに、アイコンは大事だ。人はアイコンに吹き出しが付いているだけでキャラクタ*1を錯覚する。アイコンのないキャラクタには、息吹を感じない。立ち絵はより強力だが、下手なクオリティだと逆効果だ。

参考: ノベルゲーム形式(近頃ブイブイ言わせているゲームのブイブイ言わせているキャラクター)

 挨拶をすると、主要登場人物の三人の反応が描写された。真面目系の蒼羽あおは、きゃぴきゃぴ系だが実力者の桜恋さくらこ、無口な白銀しろがねだ。ふむふむ、なるほど、そういう感じね、と進めていくと、自分がSランクだという身に覚えのない噂が広まっており、血の気の多い生徒に絡まれてしまった。

 仮にSランクだとしたら、決闘を挑むのは無謀じゃないか。そうでなくても、Eランクで知らない相手に決闘を挑むこと自体無鉄砲すぎやしないか。勝率が悪すぎるだろう。理解できない行動に困惑していると、蒼羽が仲裁してくれて、決闘せずに済むことになった。主要人物たちとランクがなんたらと話しているうちに、学園の非常チャイムが鳴る。

 よくある展開ではあるが、早すぎる。まだ挨拶しただけなのに。大丈夫かこの学園。

 あっ…………。

 大丈夫ではないね。入学早々、教師が死亡。頼りない。しかしその瞬間!

 いとも簡単に発動される、最強の能力。よっしゃ!蒼羽あおはさんやっちゃってください!

 えっ。

 …………えっ。

 開始早々、ヒロインが死にそうだ。仕方ない。をれを、動きます。

 蒼羽さん、頼む!

 うおおおおおお!!!!時止め最強!!!!!!!!!!

 …………え?

 蒼羽に【時止め】を使ってもらうつもりが、なぜか自分が使ったことになっていた。「……は?」はこちらの台詞だ。をれをのスマホを持つ手が無意識に強まった。目の前で起きている現象が理解できない。

 ともあれ、時が止まったのは好都合だ。魔獣に重い一撃をお見舞いし、撃破する。

 蒼羽に問い詰められてしまった。本当に、聞きたいのは俺の方なんだ。

 和ませるつもりが、怒らせてしまった。でも本当に、そんなつもりじゃなかったのに……。なろう系の無自覚主人公にはじめて共感した。

 追求が止まらない。「そうだよな」じゃないんだよ。助けてくれ!

 

 どこからか学園長が現れ、別の話題に移った。助かった。ナイス学園長。

 しかし、その後の展開は散々だった。「おい新入り、遺書は書いたか?」と本気の殺意を持った教師と決闘させられ、蒼羽に決闘を申し込まれ、蒼羽が奴隷化し、終わったと思ったら今度はSランクの魔獣が出現し、倒したら魔王軍の四天王が現れた。怒涛すぎる。次々とバトルする展開はあるあるだが、そろそろ休憩が欲しい。漫画だったらもう三巻は戦い続けている。早く平穏が訪れないかと願いながら、若干の飽きもあり、私はふざけはじめた。

 挨拶はアイカツの基本!

 渾身のギャグを放つ。桜恋さくらこだけが笑ってくれる。桜恋、好きだ……。

 友好的に振る舞ってみたが、結局、戦うことになってしまった。ゼルドが「Sランク5人を生贄に、魔王を復活させる」と言い出したからだ。桜恋は好きだし、なんだか白銀しろがねも気になってきた。クラスメイトを殺されるわけにはいかない。早く日常パートへ行きたいので、戦闘は適当に蹴りで終わらせた。山が一つ吹き飛んだが、四天王を倒したのだ、問題ない。比べれば安いものだ。その後ゼルドが走って戻ってきて、より強く蹴り飛ばしたら今度は山が四つ吹き飛んだ。四天王を倒せるなら安いものだ。そうしてサクッと四天王戦を終わらせたものの、一息つく間もなく、また何かが現れたようだった。

 蒼羽くん、全く同感だ。そろそろ一息つきたい。どうしたものか。思案する。

 閃いた。展開が一息付けなくても、勝手に一息付けば良いのではないか?展開を無視して、白銀を口説く、もといだる絡みすることにした。

 空の裂け目から四天王最強のヴェルザが現れたが、適当に踵落としで倒した。岩盤が割れ、マグマが噴き出し、大陸が抉れ、学園は巨大なクレーターと化し、周囲の山々は消し飛んだが、四天王最強を倒したのだ、安いものだ。しかし疾風怒涛の物語、更に魔王が現れる!もはや学園とは何なのか?学園生活はなく、ただ戦いのみが存在する。

 魔王って死んでたんちゃうん?ゼルドの言ってた魔王の復活とはなんだったのか?

 Zetaをはじめて2時間ほどが経過していただろうか、この世界に大きな矛盾が生じ始めていた。これはまずい。いろいろ試してみると、AIの出力文を修正でき、また再生成も依頼できるということが分かり、明らかにおかしなものは軌道修正しつつ、魔王ルティアの攻撃をいなしたり、召喚された終焉竜をなでなでしたりしたり、ルティアの言動をヤンデレ呼ばわりしていたら、なんか仲良くなった。

 その後、王国軍の将軍が来たり、学園長が来たりして、ルティアを見るなり殺そうとしてくるが、適当に脅して、兵隊さんに食事を作ってもらい、宴を行うことにした。日常パートの強行だ。ルティアはもう完全に懐いている。なんか一番かわいい。メインヒロインはアイコンもない魔王だったんだ……。

 ルティアかわいいね。宴の最中、魔王軍の迎えが来た。

 ベルドって誰だろう?よく考えたらそんなやつはいなかった。おおかた、仲間にも名前を覚えられていないのだろう。細かいことは気にせず、咄嗟に、うまく丸め込む言い訳を考えた。

(中略)

 かわいい。ルティアが一番かわいい。

 その後もしばらく遊んだものの、システムの限界に達したようで、王国北部に魔獣グルムガンドがことあるごとにリスポーンしたり、魔王の側近リーゼが突然国王の秘書として現れたり、だんだんとおかしなことが増えてきて、これ以上の続行は困難だと判断し、学園生活(?)を終えることにした。

 

後編へ続く*2。

 

おまけ

魔王が何故か仲間にいることにより、グルムガンド討伐編が壊れる図

 

*1:「キャラクタ」と伸ばし棒を取った古いJIS規格で書くことで、専門家だとアピールをしている

*2:続き書くか迷ってるんだけど、これ書かなかったら言語処理とか関係なくてただのキモいやつだよな……。

人生ってもっと自由だろ

 人生はこう生きなければいけない、みたいな固定観念に縛られて苦しんでる人が多すぎる。

 正社員フルタイム、キャリアアップ、安定した職、空白期間はやばい、潰しが効く仕事、彼氏彼女がいないのは恥ずかしい、いくつまでに結婚してうんたらかんたら、老後資金がうんたらかんたらと、誰が考えたかも分からない噂みたいな言説を信じ込んで実行しようとしてるやつが多すぎる。実行しようとするばかりか、そこから外れたら恥ずかしい、落伍者、人生終わりだと思い込んで怖がっている人間のなんと多いことか。

 はっきり言おう、それはディープステートの陰謀だ。新卒カードなんてちぎって捨てても死なないし、キャリアが42回折れて月に届いてても死なないよ。マリオじゃないんだからそんな簡単に死なないよ。仮に死ぬなら俺はいくつキノコを食ったんだよ。

 

 世間に白い目で見られるような生活を送っていると、一般健常社会人様方に、体力あるうちはいいけど歳とったらつらいよとか、今はいいけど子どもができたら稼がなきゃとか、耳タコ(耳にタコができるほど聞かされる、の略)になる。

 勿論、稼得は大事だし、人生設計を否定するつもりもない。けれど、それって一体どれほど信用できるものなんだろう。中露が暴走したら? アメリカがもっとめちゃくちゃしたら? そうでなくても少子化やAI程度で揺らいでるようなものだろう。それって本当に固執するほどの価値があるのかな。

 

 そもそもの話だけど、そういう人生を送れる才能をもって生まれた人はどのくらいいるんだろう。そしてその人生を送って楽しい人はそのうちの何割なんだろう。両方当てはまる人はそれでハッピーだろうけど、少なくとも俺はそうじゃない。一回しかない人生なのに、親世代が書いたWikiの気乗りしない攻略をなぞろうとは思わない。たとえ失敗しても自分の好きなようにやりたい。

 

 俺はこのステ振りで死んでもいい。そのスキルツリーはやばいって誰に言われても構わない。黒竜が倒せなくても、パーティに入れなくてもいいよ。仮に詰んだとしても、指示厨に従うだけの退屈よりはずっとマシだから。

教育としての格闘ゲーム

 

 学部〜M1あたりで考えていたことだが、ちょうど気が乗ったタイミングで文字にしておく。5年以上寝かせていたことになるようだが、自認エルフなので問題ない(何が?)

 

この記事の目標

 ゲームを部活動や授業に使うための材料を整理し、建て付けを整える。

 

スポーツとの比較をしなければならない

 運動部は、正義だ。

 中学校に入学するとき、親からも兄からも言われたことは、とにかく運動部に入れということだった。勉強のことは言われた覚えがない。とにかく運動部に入れ、入らないのはやばい、あとは何でもいい。そんなことを耳にタコができるほど言われた覚えがある。

 この世界は運動部が正義で、スポーツが正義だ。だからスポーツと比較して、劣らない教育効果が期待できることを示さなくてはならない。部活動として採用するにも、授業の一環として採用するにも、とにかくこれを示さなければ、教育の現場および運動部至上主義者を説得することはできない。

 

スポーツとの比較

 

技術の習得が容易

 まず、ゲームはフィジカルスポーツに比べて圧倒的に技術の習得が容易だ。フィジカルスポーツでは一つの動作を何ヶ月も練習したり、そもそも筋トレをしないと土俵に上がれなかったりするが、ゲームではそのようなことはあまりない。多くの技術が数分から30分、長くても1〜2週間で身につく。

 簡単じゃダメじゃん!忍耐力が付かない!と思われるかもしれない。たしかにそういう側面もあるが、PDCAサイクルを高速で回す練習になるという大きなメリットがある。間違いなく、これがゲームの最も大きなメリットだろう。スポーツではたくさん練習したり筋トレした後にやっと試せるところを、ゲームならすぐに試せてしまうのだ。実社会の能力でいえば、スポーツは職人で、ゲームはビジネスに近いと思う。

 また、フィジカルスポーツでは、対人ゲームの核心、つまり駆け引きやゲームプランなどに触れることが難しい。身体能力や技術の占める割合が大きく、2年と少しの部活動では、それ以前の部分で決着がついてしまうからだ。しかし、ゲームであればもっと速くその段階まで到達できる。部活動でよく「頭を使え」と指導する光景を見たが、ゲームの方が速い段階で頭を使わないと勝てなくなるので、頭を使う練習はゲームの方が向いている。一方、技術習得の訓練という面では、スポーツに軍配が上がる。

 

変化する環境

 これは新作ゲームに限るが、ゲームのルールはすぐ変わる。すぐ変わるということは、突き詰めるよりも、大雑把な攻略と適応が鍵になる。先程の話と似ていて、やはりスポーツは職人的で、ゲームはビジネス的だと思う。スポーツは長い目で練習することが多いが、ゲームで大事になるのは今勝てること、せいぜい半年後に勝てることだ。

 ただし、この点は旧作を採用するとスポーツと同じになる。

 

身体を使わない

 「ゲームは身体を動かさないから健康に悪い!」

 全くもってその通り。ただしカウンターはいくつかある。

 

 第一に、身体を使わないということは裏を返せばアクセサビリティが高いということでもある。少なくとも格闘ゲームは、健康な両手と1mくらい先のモニターが見える視力があれば問題なくプレイすることができる。障害者スポーツも素晴らしいが、更にアクセサビリディが高く、また健常者と同じルールでプレイできること、競技用車椅子などの高価な道具が必要ないことは評価に値する。心肺機能が問題になりにくい点も評価したい。

 第二に、スポーツは健康に良いというのは半分嘘だ。間違ったトレーニングで怪我をする、同じ動作を繰り返し過ぎて怪我をする、接触や転倒で怪我をする、という負の側面も併せて考えたい。我が家の運動部至上主義者たちは皆体力があるが、膝がボロボロだ。

 第三に、教育者であれば適度に運動するように指導すべきだ。スポーツで身体を動かせば休息を取る。ゲームで固まっている時間が長いなら身体を動かす。当たり前のことだろう。

 

他の競合との比較

 普段はゲームという文脈でFPSやMOBA、またTCGやボードゲームなどと比較しているが、教育という場面においてはやはり囲碁、将棋だろう。同じように比較しておこう。

 

知識の要求量が少ない

 子供の頃にやった将棋が全く詰ませられなかったのをよく覚えている。囲碁は知らないが、将棋はある程度手を覚えないと形にならない。一方ゲームは比較的少ない知識で形になる。

 ただしそれは同時に、戦略性が低いということにもなるだろう。

 

リアルタイム性が高い

 ゲームはフィジカルスポーツではないが、リアルタイム性の高い競技だ。今となっては当たり前だが、これはすごく画期的なことだと思う。ゲームでは、戦略的な要素と同時に、反応(瞬時の判断)による要素も味わうことができる。

 逆にいえば、戦略に集中することは難しい。

 

御託は十分だ

 以上から、ゲームが既存のスポーツともボードゲームとも異なった性格をもった遊びだということがお分かりいただけただろう。異なる性格のものを使えば、異なる教育効果が期待できる。スポーツやボードゲームなど既存のものに、ゲームも加えてみてはいかがだろうか。

 

問題

 企業が権利を持っているんだよね…。

 学校で扱うと特定の企業に利することになってしまう。となると、スポーツクラブのような形を考えるが、ゲームを使って利益を出すとなると法律上の制限が出てくると思われる(詳しくない)。このへんを解決する必要がある(人任せ)。

 

制限

 筆者は格闘ゲームのことしかわからないので、それを念頭に書いている。その他のジャンルについては、少し事情が異なるだろう。

 

いろいろ言うけれど格ゲーが流行るのに大事なのは結局人(コミュニティ)

 

 格闘ゲームが流行るのに大事な要素ってなんだろう。いろいろ言われるけど、僕は結局人だと思う。

 

 「なぜ格闘ゲームは流行らないのか」「なぜスト6だけが流行って他のゲームは流行らないのか」

 インターネットではいろいろな意見が飛び交っている。的外れなものから頷けるものまでいろいろあるが、人とかコミュニティという点を最重視している意見は僕の観測範囲では少ない。しかし実際に大事なのはそこだと思う。

 

よくある意見を叩いて気持ちよくなろう

 まずはよくある勘違い(クソデカ釣り針)を叩いて気持ちよくなろう。クソ雑魚の格ゲー衰退論を槍玉に挙げようか。とはいっても何か一つまとまった論考があるわけではないのだが。まあだいたい、「敷居が高い(誤用)」系だろう。分解すると、「コマンドが難しい」「複雑化」「コンボゲー化」「初心者が勝てない」というところだろうか。一つずつ分析していこう。

 

「コマンドが難しい」

 これは嘘だ。アクションゲームが苦手な人にとっては難しい要素になり得るのだが、基本的に今のアクションゲームはもっと難しい。冷静に考えてほしいのだが、格ゲーとかいう35年前のアクションゲーム黎明期のゲームが難しいわけがない。現代のアクションゲームを通ってきた人にとっては、「コマンド?意味わかんねーなんで技出すのにいちいち覚えなきゃいけないの?めんど」という程度だろう。

 「スト6はモダンがあって敷居が低い(誤用(しつこい))から流行った」という主張は裏の命題になっている。これはある程度正しいのだが、一つ誤謬がある。実際に難しいかどうかはどうでもよくて、できそうと思わせることがポイントだ。とにかく「でも難しいからな〜」などと思わせて突き放す確率を下げることが大事だ。「このゲームはこんなに難しくて複雑で奥深いんです!」と言われても、誰もやりたいと思わないだろう。元の主張を正確に言い直すと、「格ゲーをプレイするのは実際には難しくないんだけど、みんな難しいと思い込んでるから、モダンという新しい操作を導入して簡単だというイメージに刷新することで障壁を下げたのが流行の一因となった」という感じか。

 だいたい操作が難しくて流行らないんだったらスマブラ流行ってないから。マジで意味わかんねーからあのゲーム。本当にモダンが必要なのはスマブラの方だから。衰退論のおっさんらはスマブラ触って自滅しまくって「スマブラはモダンがないから衰退した!」とでもわめいててください。

 

「初心者が勝てない」

 「俺でもできそう!」と繋がる話だから、続けて話そう。初心者のうちから勝てると、「あ、俺このゲーム結構いけるんじゃね?」という錯覚をおこせる。そしてそれは続ける一因になる。正しい。

 

「複雑化」

 うーんこれは……。複雑なゲームは覚えるのがめんどいから脱落する人が増える。それはそう。でも、麻雀みたいな意味分からん図とKanjiのコマを並べてツモとかロンとかチャイニーズで鳴くゲームを世の大学生がこぞって始めるのを見ると、障害にはなるが魅力があればそれを超えてきてくれる、っていうことだろう。っていうかスト6もかなり複雑なゲームだし*1、余裕で超えてると思うよ。これはもう問題になっていない。

 

「コンボゲー化」

 これは「コマンドが難しい」と「複雑化」のかけ合わせみたいな感じかな。覚えるのめんどくさいし、ニチャニチャクチャクチャしたネバネバコンボくらってる時間は人生の無駄なのでたしかにゲーム側で工夫したほうがいいと思う。コンボゲーだから流行らないってことはないだろうけど、時代に合ってないとは思う。ところでスマブラDXっていう全コンボアドリブかつ読み合いの神ゲーがあってぇ〜(スマブラDXおじさん登場)

 

良いゲームを作れば流行るというナイーブな考え

 今見たように、どの意見もそれなりに正しさはある。では何が間違いかといえば、「流行らないのはゲームに問題があるはずだ」という前提だ。良いゲームでも流行らなかったものは腐るほどあるし、逆に流行ったクソゲーもある。もちろんゲームそのものはとっても大事だが、同じくらい大事な要素がある。それこそが「人」だ。
 さっき挙げた問題とかいうものは、友達とやれば全て解決する。コマンドが難しくても「このゲームむじ〜」って言いながら一緒にやれば面白いし、初心者同士だから勝てないとかいう問題もないし、複雑だろうがお互いよく分かんないままやって徐々に理解していけるし、コンボゲーは……いや、コンボゲーはダメかも。30秒くらいネチャネチャ殴られ続けて即死した挙句ラウンドの合間にニチャつかれたら絶縁してしまうかもしれない。
 一緒に始める友達がいないにしても、例えば「初心者が勝てない」問題は数戦したあとに上級者側が「対戦ありがとうございました!よくやるんですか〜?」と声をかければ済む話だし、だいたいはコミュニケーションで解決する問題だと思う。

 

 たとえば将棋とか、あるいはサッカーとかバスケみたいなスポーツを想像してほしいんだけど、こいつらは難しいし複雑だし初心者は勝てないし、あろうことかコンボゲーですらあるかもしれないけど、でもいろんな人がやってるよね。歴史が違う? 部活でやれるのとそうじゃないのは違う? そうなんだけど、じゃあそうすればいいよね。ゲームを簡単にするとか、運要素モリモリにするとか、そんなものは小手先で、歴史とかやりやすい環境を作れば人は増えるってこと。ゲーム会社の範疇じゃないと言うかもしれないけれど、本当にeスポーツなんてものを信じていて推し進めたいのなら、そうすべきじゃないのか。だって他のスポーツや競技はそうなってるじゃん。というのは、安易な考えを投げつけただけだけど。どういう形が良いのか分からないけれど、仮に中高にストリートファイター部があったら、あるいは公民館でストリートファイター教室があったら、と想像してみるのは、悪くない一歩目だと思う。

 話が逸れたけど、デベロッパーやコミュニティがやるべきはウンウン唸ってゲームの改善点を絞り出すことだけじゃなくて、どのように人が繋がっていく場や仕組みを作るかってこと。カプコンはそれに気付いていて、バトルハブなんかを作ったんだろうけど。

 

そもそも「流行る」とは

 流行る、というか人口を獲得するということを考えるために、少し分解してみよう。「人の目に触れる」「やってみたいと思わせる」「始めた人が楽しめる」「始めた人が続ける」という四段階くらいで考えれば十分だろう。

 「人の目に触れる」 まず知ってもらうということ。プロモーション。CMとか、ストリーム。EVOとかね。

 「やってみたいと思わせる」 大事なのは見た目と雰囲気。まず、見て分からないゲームはやりたいと思わない。知らない人でも分かるようなゲーム作りがすごく大事。そして雰囲気。「あのゲームは難しい」と言われていたら尻込みする。だからみんなで「誰でもできる」という錯覚を作ることが大事。さらに人の雰囲気。「あのゲームやってる人たち雰囲気いいな」とか。これはちょっと難しいけど。まずゲームや界隈に良い印象を持ってもらう。そして、このゲーム自分がやっても楽しめるんじゃないかな、って思ってもらう。最後にきっかけ作りとか。ゲーセンとかイベントで触れられる、限定商品、期間限定無料開放とか? まあ、ここはなんでもいいや。得意でしょ、こういうの。

 「始めた人が楽しめる」 楽しくなかったら次はない。はじめての人が楽しみやすい遊び方。ストーリーモードとか、特殊ルールとか。モダンもこれだよね。

 「始めた人が続ける」 続けてもらえないと人は増えない。この段階になってはじめて本当にゲームの力だと思う。つまらないゲームであれば、やがて他のゲームへ流れてしまう。続けてもらうにはゲームそのものの魅力が重要。

 

流行るにもやっぱり人

 でも実は同じくらい大事なことがあって……。なんと、今話したステップも「人」がだいたい解決する。いや、解決どころか、最も効果を発揮する。だって、友達が話してたら知るよね。で、やってみたいと思う。一緒に遊べるし、共通の話題にもなるし。一緒に遊んだら最初は楽しいに決まってるし、続けやすいだろう。それがねずみ算で増えていく。それでもゲームがつまんなかったら、友達と一緒に他のゲームに行っちゃうけどね。

 

インターネットの功罪

 人の繋がりを阻害するもの、それはずばりインターネット。オフライン対戦が主流の頃、ゲーセンのゲームであればゲーセンで、家庭用のゲームであれば誰かの家に集まって、というのが当たり前だった。そういう場では自然と人と関わることになるが、2000年代後半〜2019年にかけて、状況は徐々に変わっていった。

 光回線による通信安定性の改善、2019年のロールバックコード公開、ディレイをわざと仕込んだり消したりといった工夫によって、オンライン対戦の品質はオフラインとほぼ遜色ないものになり、ちょうどコロナ禍による生活様式のスイッチングも重なって、人々の軸足はオンラインへと移った。

 もちろん素晴らしいことでもあって、練習の時間や機会は飛躍的に増え、プレイヤーのレベルは格段に上がった。今のプレイヤーが10年前の動画を見たら、レベルの低さに驚くと思う。一方、プレイヤー同士の繋がりは希薄になった。

 人々のプレイ様式は一変した。ゲームするという言葉の意味は、適当に集まって対戦したり駄弁ったりご飯食べたりするというものから、家でトレモするかランクマするかというものに変化した。移動時間なしでトレモとランクマだけするのは、確かに効率が良い。少ない空き時間でも練習することができる。でもそれは、目標設定を誤ってる。ゲームする意味って、一番強くなるとか、効率よく強くなるとかじゃなくって、楽しむことだよね。一見無駄に思えるようなゲーム外の要素こそ、実はゲームを楽しむために重要な味付けなんだ。

 今でも昔と同じことはできると思うかもしれない。それは合っているけど違う。便利さを覚えてしまった人は戻れない。「ランクマでよくね?」「オンラインでできるのに何でわざわざ?」はじめに問いが立ち塞がる。壁を越える理由ができるまで、人はドアの外に出てこない。

 

デベロッパーとコミュニティは何ができるか

 デベロッパーとコミュニティが抱えている問題と、できそうな施策の話。

 

ランクマ

 まず大前提として、多くの人にとってランクマはゲームではない。戦闘狂の皆様方には信じられないかもしれないが、ゲーマー人口のボリューム層、つまりカジュアルな層にとって、対人ゲームは他者と楽しむためのツールであり、覆面同士ですれ違いざまに勝った負けたを繰り返すシリアスなものではない。しかしながらランクマはそこに「ある」ため、一人で始めたプレイヤーが触れる最初の「遊び」はランクマッチになる。これはまずい。彼、彼女はランクマッチのシビアさ、無味乾燥さに唖然とし、すぐに踵を返し、二度とゲームを起動することはないだろう。このような悲劇を生まぬよう、認定戦の前に「この先は戦場です。ゲームではありません。」と警告を出すべきだ。

 桜井政博はこれを理解していて、世界戦闘力だのランクのカラー化だのやっているが、あまり機能しているとは思わない。世界戦闘力とかいう数字はよく分からんけどさすがに頭の数字が変わるとムカついてくるし、やってるうちに数字の感覚もついてくるので結局ムカついてしまう。カラーは事実上のランクだろうし、調べればすぐムカつけるようになるだろう(人間の知的好奇心を舐めてはいけない!)。それに、ランクマのシビアさの軽減には寄与するが、無味乾燥さには触れていない。

 僕としてはランクマなんてゲーム体験として最悪なんだから閉鎖すべきとまで思ってしまうが、そうするとバーサーカーがやらなくなってしまうので難しい。答えはない。

 

交流会

 名前の通り。人が交流するための場であり、交流するためのイベント。

 バーサーカーが陥りがちな思考として、「大会を開けば人が増える!」というものがあるが、それで集まるのはコア層だけであり、カジュアル層が増えることはない。何故なら、プールで全敗して終わると分かっている大会にわざわざ貴重な休日を費やして単身乗り込むカジュアル層はいないからだ。

 カジュアル層に必要なのは交流の場だ。大会でも交流できるだろ!と思うかもしれないが、休日に出かけもせず飲み会もせず家でゲームをやっているようなダンゴムシ達にそんなコミュ力があるわけなく、全敗したが最後、無言のままパイプ椅子の上で6時間丸まって帰るのがオチだ。自然に交流して、連絡先を交換させるような𝒆𝒗𝒆𝒏𝒕を作ってやる必要がある。

 交流を目的として、交流しやすい施策をして、ダンゴムシ達を支援してやる必要がある。「通話繋いでプレマするまでが交流会です。」これでいきましょう。

 

Discord(◯◯窓)

 「人の繋がりを阻害するもの、それはずばりインターネット」と書いたが、本来ノードとノードを繋ぐ技術がインターネットで、つまり人と人を繋ぐ技術でもある。溺れると毒だが、うまく扱えばオフラインでは考えられなかったことが可能になる。

 スマブラSPのキャラ窓(同じキャラクターを使う人が集まるサーバー)が有名で、いいモデルだと思う。僕自身クラウド窓で遊んでいたことがあるけれど、老害旧作爺にもフレンドリーに接してくれて本当に楽しく過ごさせてもらった。スト6でもキャラ窓はたしかあって、あとはストリーマーサーバーとかかな。ファン層みたいなのもできてきたから、ファンコミュニティとかもいいかもしれないね。ストリーマーサーバーも広い意味ではこれなのかな。

 

ゲーム内広場

 要は、バトルハブ。勝手に交流が生まれるのを狙いたいから、ログインボーナスとかデイリーミッションを作って、とりあえずバトルハブログインするか、とりあえず毎日2ゲームだけするか、みたいなところかな。もうやってんのかな。よく知らない。

 協力するミッションとかがあってもいいかも。コスト高いし、できるゲームは限られそうだけど。

 

個人は何ができるか

 小さな話をするなら、ひたすら声をかける。これに尽きる。いわゆる前ステ。怖いけど、意外となんとかなる。同じゲームをやってるっていう最強の共通項があるから。

 ある程度人がいるゲームなら、良さげなDiscordサーバーに入ってみるとか、対戦会行ってみるとか。そっから前ステ。前ステから前ステ。

 うまくいかなかったら? そんなやつ普通にキモいから関わり合いにならなくていい。ゲームと一緒、とにかくたくさん技振って当たってたらコンボに行きましょう。

 結局のところ、ミクロでゲーム人口を増やすのは、「初心者に手当たり次第声をかけて仲良くなるコミュ力お化け」と、「誰かと一緒に始める初心者」だと思う。どっちかになろう。どっちかになることが前ステするということだから。

 

 

今北産業

  • 流行るには結局人
  • 交流できる場所作ろう
  • 前ステしよう

*1:スト6はシンプルなゲームとされているが、シンプルなのはストリートファイター的なやり取りだけで、複雑な補正、コンボカウンター、空中コンボ可否、キモい簡易コマンド、非直感的なヒットガードF、技ごとにキャンセル可否設定、技ごとに違うキャンセルタイマー、SA3のみスパキャン可能、っていうか普通にゲージシステムが多い。でもスト6はシンプルなゲームですっていう雰囲気が大事なので黙っておこう。

GGSTの直ガは難しい

※駄文

導入と前提

 昨日、友人とストライヴの直ガ(直前ガード。攻撃をくらう直前2Fにガード入力をすると成立する)の難しさについて話していたのですが、その中でスマブラと比較してどうなの、と聞かれた一節がありました。私は「DX(旧作)は1FでSP(最新作)は4Fだよ、だけどストライヴの方が難しいと思う」というよくわからない応えをして、すぐに別の話題に流れたのですが、ストライヴの直ガがやけに難しいのは以前から疑問に思っていることでした。しかし、今朝起きたらふと閃いたので、整理してみます。

 まず私は一番遊んだDXのジャスガであんまり困った覚えがありませんでした。1Fで困らないのはさすがにおかしくないか?と思って調べ直してみたところ、普通に4Fでした(カスのオチ(土下座))。言い訳があって、昔はあんまり解析が進んでいなかったので、4Fだけどシールド外縁部でしか取れないから実質1~2Fだよね、みたいな共通認識だったのですが(その理屈もよく考えるとおかしいですが)、今調べ直したら普通にどこでも取れたので4Fです。飛び道具は2Fです。

 追加で、よく引き合いに出されるスト6のジャスパは同じ2Fです。

 

1 単純に2Fは難しい

 DXの4Fのジャスガとストライヴの2F直ガで比べてみたのですが、4Fのジャスガはトレモでタイミングが分かってる状況では1割も失敗しない一方、2Fの直ガは3割失敗します。

 これは他ゲーの経験とも一致します。

 

2 使い方が違う

 これも大きな要素だと思います。スマブラのジャスガは飛び道具と飛びを見てから取る、ガードからの打ち返しに対して取る、という使い方が主なので基本的にタイミングが読めていたり、確認で取れたりします。スト6は飛びじゃなくて突進に狙うだけでだいたい同じです。SPではジャスガ判定を置いておく、というのもすごく強い行動です。

 一方、ストライヴで直ガを取りたいタイミングは、距離を離すための被起き攻めのFD直ガと、反撃のための暴れ潰しに対する直ガです。両方タイミングは分かりますが、問題は幅があることで、起き攻めの重ねであっても1-4F重ねの幅があるので、重ねが読めていても理論的に1/2しか取れません。つまり、①相手の行動(重ねるか)が読めていて(1/3)、かつ②早めなのか遅めなのか読めている(1/2)と成立する、ということです。

 暴れ潰しもだいたい同じです。①相手の行動(暴れ潰しでキャンセルするか)が読めていて、かつ②タイミング(連ガ/暴れ潰し/遅らせ)が読めていて、かつ③その行動でも早めなのか遅めなのか読めている、という状況でやっと成立するので、そりゃ難しいわな、と思います。

 2K2Dを直ガして投げる、みたいなのは比較的簡単ですが、この状況も全キャラ発生するわけではありませんし、そもそも2Dも1Fくらいディレイがかかるので安定しない……。

 

3 猶予を伸ばすテクニックを使いづらい

 使い方の話と関連しますが、DXやスト6は上からの攻撃に対して、しゃがみで引き付けてからガード/パリィを押すことで、猶予を伸ばすことができます。スト6は仕様が変わったので、今は難しいかもしれませんが。SPはありませんが、そもそもジャスガ判定がバカみたいにでかいので必要ありません。

 一方ストライヴではそういう用途はキャラ対程度ですし、そもそも入力的に難しいです(2→4と入れる必要があるため、猶予が削れやすい)。

 

4 遅いとくらう

 スト6との大きな違いで、スト6はガードの上からパリィできるのでミスっても何も起こりませんが、ストライヴは普通にくらって体力5割減ったりします。

 DXは低~中%であれば防御が仕込めますし、SPは遅めを狙えばガードになります。でもストライヴは(ry

 

じゃあどうすりゃいいの?

 そもそもなぜこういう設定になったかというと、過去のインタビューでは「初心者には難しいテクニックを減らしつつ、やりこみ要素も残したい」という話だったと思います(調べても見つからなかった)。それを踏まえていくつか改善案を考えてみます。

 

1 そのまま

 そのままでも悪くないと思うんですが、直ガしないときつすぎる連携が一部あるので、そういうの消しましょう。直ガ取れたらラッキーでリターン上がる、という設計は悪くないと思います。難しいのが問題なのではなくて、難しいのにやらないと無理な連携があるのが問題なんだと思います。どっちかだよねっていう。

 

2 消す

 そもそもいらなくないですか? ストライヴって直ガなんてなくても仕込みとファジーのオンパレードなので、やり込み要素は残ってると思います。直ガ狙って素喰らいするの何も面白くないのでこれでもいいと思ってます。

 その場合でもやはり直ガしないと無理、みたいな連携を消しましょう。

 

3 猶予を4Fにする

 最初に書いた通り、猶予4Fならば狙って安定するラインだと思います。4にすれば読み合いとしてもきれいに回る(ストライヴは重ねが1-4F、遅らせが6-9Fのため)ので、これはありだと思います。ただ、4だと直ガ前提のメタになってしまうので、意図には反してしまうかな。今の仕様だと強くなりすぎてしまうし。

 

 

 結局2Fのままでいいような。でもむずいっす。むずい。